高校時代、私(富岡誠)はわずか10カ月のボクシング経験で全国大会準優勝という成果を収めました。この経験を通じて、挑戦することで新しい道が開けるという信念を持つようになりました。やがて地元の佐賀県職員として働き始めましたが、ボクシング業界での不正や腐敗が目立ち、その現実に疑問を抱くようになりました。

2018年に「奈良判定」事件が世間で注目を浴び、不正が明らかになりました。この事件は、ユーキャンでその年の流行語にもノミネートされるほど大きな衝撃を与えました。私はこれを機に、日本ボクシング連盟の改革を目指し、「日本ボクシングを再興する会」の創設メンバー3人のうちの1人として、500人を超えるボクシング関係者と共に、当時の会長山根明氏の退陣を求める内部告発活動を行いました。その結果、山根明氏を退陣させることに成功しました。

さらに、その後も改革を続け、私はボクシング協会を公益法人化することに尽力しました。この公益法人化によって、業界全体の透明性と公正さを確保し、ガバナンスを健全化する基盤を作り上げました。これは、単なる反抗ではなく、公益法人としての適切なガバナンスを取り戻すための正当なスクラップ&ビルドの取り組みでした。

この経験から学んだのは、腐敗した組織や政策に対して変革の必要があるとき、現状を疑い、新しい価値を築く勇気が不可欠だということです。これは地方自治体で働く職員にも当てはまります。既存の制度や政策に安住せず、時には古い事業を廃止し、新たな政策を立案することが求められます。

現在、私は地方自治体向けの教育研修会社「スキル&モチベーション」の社長執行役員として、職員の皆さんに「政策のスクラップ&ビルド」を実践するための研修を提供しています。政策創造の主役は自分であり、変革を恐れない勇気こそが、地域社会の未来を築く鍵です。ボクシング業界での改革がそうであったように、地方自治においても、新しい未来を切り開くための挑戦が必要なのです。