視える化”によるスクラップ&ビルドへの挑戦⑵
弊社の社長として初めて認(したた)めた前回のコラム(ココをクリックすると前回コラムを確認できます)に続き、今回2回目のコラムとして前回と同様“スクラップ&ビルド”というテーマを選んでみました。
ちなみに前回のコラムでは
❶私の半生が早熟ボクサーだった故にその後イップスで苦しみ彷徨い続けた半生であり、その実績に代わる自信を欲しくて様々な資格を取得し転職を重ねキャリアを積んできたコト。
❷資格取得と転職キャリアを重ね続けてきた結果、興味・関心が有る組織・集団現象をモニタリングしていると脳内にグラフィカルに投影されるという自身の認知的特長に気づいたコト。
❸その認知的特長と視える化メソッドを活かした結果、衰退していたボクシング界のスクラップ&ビルドに寄与できたコト。
❹県庁職員時代を含め複数の事業でスクラップ&ビルドをしてきた経験やノウハウを活かして、地方自治体職員への研修事業の形で提供を始めたコト。
等を述べていました。
今回紹介するスクラップ&ビルドの事例は、前職佐賀県庁時代に経験した業務で、佐賀商工会館という老朽化した建物を解体し新築する佐賀商工ビルに移転するというプロジェクトです。
この移転プロジェクトは、商工会連合会や商工会議所、地元地銀等多くの経済団体が入居している“佐賀商工会館”という老朽化している建物を解体し、別地に新設予定の“佐賀商工ビル”に引っ越ししてもらうプロジェクトです。これは老朽化した建物を壊し別地に建て替えるだけの単純な事業では無く、更地になった商工会館跡地に、別地で同じく老朽化しているNHK佐賀放送局舎を建てるという、いわゆる“玉突き移転”と言われる複雑な移転プロジェクトでした(知事や市長だけでなく当時の総務大臣も絡む大規模開発事案でした)
商工会館には20を超える経済団体等が入居しており、それら団体に勤務する職員が新設予定地である中心市街地の“佐賀商工ビル”に引っ越すことで、衰退が進む商店街の買物客になることを見込んでいる、いわゆる賑わい創出の目的も含まれている事業でした。
スクラップ面(=商工会館の解体)で苦慮した事柄は、県有地である敷地や上物である建物には、区分所有法が施行される以前の複雑な権利関係が設定されており、
⑴行政財産を管理・処分する行政法学的な解釈(公有財産法や都市計画法など)と民事上の不動産取引の法解釈(民法や区分所有法や不動産登記法や損失補償法理など)を融合させた、複雑な法律上の解釈の整理。
⑵土地建物の買主となる佐賀市役所と売主である佐賀県庁との不動産鑑定理論上の解釈の相違による諸調整。
など、極めて高度で専門的かつ膨大な知識が必要で、また背反する利害の調整も膨大でした。
また、ビルド面(=商工ビルの建設)で苦慮した事柄は、県庁や市役所を含む4者で建設する契約(合築契約と言います)であり、ビルの仕様に関して以下の膨大な利害調整が必要でした。
【県庁外部の関係者に対しては】
⑴ テナントに対して県が推奨するユニバーサルデザインへの理解の促進と費用負担のお願い。
⑵ 新設ビルの維持管理費用に関する負担交渉。
⑶ 建築事業者、電気設備事業者、電気通信設備事業者らとの各種連絡調整
【県庁内部の関係者に対しては】
⑷ 新設ビルに入居予定の県庁国際部門や障害福祉部門の関係課との調整
⑸ 新設ビルのユニバーサルデザインを所管する県庁総合福祉部門との調整
⑹ 新設ビルに設置するWi-Fi等情報通信を所管する県庁情報部門との調整
⑺ 新設ビルの県有部分の財産管理を所管する県庁管財部門との調整
といった具合に、県庁内外の多数の利害関係者との間で膨大な諸調整が必要でした。
これらスクラップからビルドに至る過程で、極めて高度かつ専門的で膨大な法的解釈が出来たり、多くの関係者との利害調整がスムーズに出来た理由は、ボクサー時代に代わる実績が欲しくて必死に勉強し身につけた認知的特長及び“視える化”し統合するメソッドを習得していたからだと思っています。
地方公務員時代の実務で鍛えられ磨かれてきた認知的特長や“視える化”メソッドについて、今後研修事業を通じて地方自治体職員に是非伝えたい“思い”で一杯です。