自治体職員の経営感覚は?
(マネジメントは管理?)
管理監督者の主たる任務は「マネジメント(Management)」です。マネジメントを行う人が管理監督者と呼ばれます。しかし、地方自治体の受講者(管理監督者)に「マネジメントを日本語で言うと何ですか?」と問いかけると、多くの場合「管理」という言葉が返ってきます。なぜなら、タイムマネジメントは「時間管理」、ヘルスマネジメントは「健康管理」、セルフマネジメントは「自己管理」、リスクマネジメントは「危機管理」と、実際の職場で用いられているからです。
一方で、生成AI(OpenAIのChatGPTやMicrosoftのBing、GoogleのBardなど)で「マネジメント」を検索すると、「経営管理」と表示されます。つまり、マネジメントは単なる管理だけでなく、正確な日本語では【経営管理】となります。したがって、地方自治体の管理監督者は「経営」と「管理」の違いをしっかりと理解してマネジメントを実践することが求められます。
ところが、研修で地方自治体の受講者(管理監督者)に「経営と管理の違いは何ですか?」と質問しても、妥当な回答が返ってくることはあまりありません。
では、経営と管理の違いを端的に説明すると、対象が異なります。地方自治体も民間企業も共に組織であり、その組織の中で人々が日々「仕事(事業)」をしています。したがって、キーワードは【組織】と【仕事(事業)】です。会社経営、自治体経営、赤字経営、黒字経営という言葉がありますが、「会社管理」「自治体管理」「赤字管理」「黒字管理」という言葉は通常使いません。従って、【経営の対象は組織】ということになります。次に管理の対象ですが、部下の仕事を管理すると言いますが、部下の仕事を経営するとは言いません。従って、【管理の対象は仕事(事業)】と言うことになります。
経営と管理の具体的な違い
経営の対象は組織 組織の経営は、部門別のビジョンとミッションを明確にし、組織全体が効果的に運営され、中長期的な目標の達成に向けて戦略を策定するプロセスです。この過程には、他の部門との調整や協調、進捗状況のチェックなどが含まれます。また、必要な経営資源(Management Resources:ヒト・モノ・カネ・時間、情報等)を獲得することも組織の維持に不可欠です。
管理の対象は仕事(事業) 仕事(事業)の管理は、事業や組織内の業務を効率的に進めるために、経営資源を適切にコントロールし、事業目標の達成を目指すことです。事業の管理には、時間管理、勤怠管理、顧客管理、タスク管理、進捗管理、危機管理など、経営全体の管理が含まれます。
大内流1ポイントレッスン
マネジメントは経営管理です。そして、経営の対象は組織、管理の対象は仕事(事業)です。日々の仕事に忙殺されて、組織の経営を忘れないように、戦略的視点を持ちましょう