先日、地元藤沢の寿司屋の店主と開店時間前にお話をする機会を得ることができました。

その店主のことを通常、大将と呼んでいます。 その大将は中学を卒業してすぐに修業の道に入り、先代が亡くなって当代を引き継ぐ今に 至るまで40年間、魚と相対し道を究めて来たのさそうです。

カウンター越しに話していたのですが、話しながら何か開店の準備をしているらしく 身体が小刻みに、規則的に動いています。包丁を研いでいたのです。

職人が包丁を研ぐところをじっくり見てみたいという衝動にかられ、 「大将、カウンター側に廻ってそれ見せてもらってもいいですか?」とお願いし、隣で職人の仕事を見せてもらうことが出来ました。

出刃、柳刃、数種の包丁を丁寧に砥石にあてています。 その研ぎ方についていくつか質問をしてみたところ、 いつもの大将よりも多くの言葉が返ってきます。

片刃の包丁は片側しか研がないことや、先の方を丁寧に研ぎ、手元の方はあまり研がないこと、 包丁研ぎの周期や包丁の寿命など・・・実にプロらしい答えが返って来ました。

プロに学ぶことは同じ道を目ざしていなくても、何らかの参考になるものです。

前述の大将の話は道具を大事にし、常にメンテナンスをしておく大切さを再認識いたしました。

我々講師は、話し方、プレゼンテーション術を常にメンテナンスしていなくてはなりません。
声が明瞭で、メリハリのある話し方をするためには体力の維持も欠かせません。
体力の維持のためには歩いたり走ったり、泳いだりと言ったトレーニングも大切です。

また、時間配分や受講者とのコミュニケーションという観点では場数は多い方がいいに 決まっていますし、常にいつでもお話が出来るように準備をしていく必要があります。

なかなか打席が回って来ないプロ野球選手でも常に素振りを繰り返し理想的なスイングが 出来るように準備をしています。

我々、話し方のプロはどんな小さなプレゼンテーションの機会でも結論やその根拠、理由を明確に して分かりやすいお話をすることを心掛けます。

素晴らしい実績を持った元プロ野球選手が解説者としてテレビやラジオで活躍されることも よくある話ですが、プロ野球のプロの解説者としても向上心を持って努力をされている人も 少なくないようです。

いくつになっても道具を大切にし、素振りを欠かさず、怠らないことは大切だと再認識いたしました。