5度目の総裁選で、ついに石破新総裁が誕生しました。石破氏といえば、鳥取県をお膝元としており、私はかつて鳥取県の新規採用職員に対して、入庁年度の4月からインターバルを設け、計3日間にわたる「政策立案研修」を3年間にわたり実施した経験があります。この研修は、新採職員にとっては異例とも言える内容であり、実際に企画書を作成し、発表まで行わせるという実践的な取り組みが特徴でした。

 地方自治体では、新採職員にはビジネスマナーや仕事の進め方など、基本的な業務知識を習得させることが一般的ですが、鳥取県ではこの研修を通じて新規事業の提案を行わせるという、非常に独自性のある試みを行っていました。特に、鳥取砂丘で音楽フェスを開催する事業など、ユニークな新規事業のアイデアも発表され、自由な発想が職員たちの提案に反映されていました。

 研修の内容は、政策立案の基本を学び、グループに分かれて新規事業のアイデアを企画・立案し、最後に上司や他の職員の前でプレゼンテーションを行い、担当講師が講評するというものです。このプロセスを通じて、新採職員は行政課題に対する解決策を自ら考え、斬新でユニークな提案を行うことが求められました。

 鳥取県がこのような研修を実施した背景には、少数の職員で多岐にわたる業務を担わなければならないという県の独自の事情があります。職員には早い段階から「考える力」や「企画力」が必要であり、若手のうちから政策の本質を理解し、自ら考え行動できる職員を育成するという強い思いが感じられました。

 このような独自の取り組みは、鳥取県の新採職員にとって非常に貴重な経験となり、単なる職務遂行にとどまらず、地域をより良くする主体としての意識を芽生えさせる効果があったと思われます。特に、若手職員が自由な発想で政策を提案できる場を提供することは、組織の活性化と職員の成長を促進する重要な施策といえるでしょう。

 今後、石破新総裁のリーダーシップのもと、鳥取県が進めてきたこうしたユニークな取り組みがさらに広がり、全国の自治体において若手職員がより主体的に活躍できる環境が整備されていくことを期待したいと思います。鳥取県のこの施策は、単なる職員研修を超え、未来の地域づくりを担う人材育成の基盤を築く重要な一歩であり、他の自治体が参考にする価値がある事例と言えるでしょう。